保育園用給食用品の商社を設立した当初から海外市場に関心
ソース:ハート文具  日付:2014-11-13 15:19:53 ビュー:1043

 「給食企画体」というユニークな社名は、そのまま同社の事業を表している。
 同社が扱うのは、保育園向けの食器や、食育指導に使われる配膳台、キッチンなどの給食用品だ。取引先は、全国の卸売業者や自治体の保育課である。このほか、児童書出版社からはアニメキャラクターを使った食器などの開発を受託している。
「0歳児を含め、小さな子どもたちの口に入るものだけに、安全性に対するお客様の要求はきわめて厳しい」と、桑原英児社長は話す。
 同社は工場を持たず、製造は専業のメーカーに委託しているが、品質には特に気を配っているという。軽量で割れにくく、有害物質の溶け出しのない高強度磁器「ダイアセラム」を中心としたラインナップのほか、食育関連商品が充実しているのも同社の特長だ。本社には、食育をテーマにしたショールームも備えている。
「設立当初から、海外市場には関心を持っていました」と、桑原社長は振り返る。自ら会社を立ち上げる前は、厨房機器メーカーの企画開発などの仕事に携わっていた。日本のホテルやレジャー施設の海外進出などのプロジェクトにも数多く携わった。
「日本製の優れた給食用品なら、海外でも受け入れられるのではないかと考えました。ただし、いきなり支店を出すのもリスクがあります。そのため、まずは『アリババワールドパスポート』で試してみようと考えました」(桑原社長)。

単価がまったく折り合わず、次善の策が求められる

 「実は、海外市場の取り組みは、当社の繁閑の調整も狙っているのです」と、桑原社長は内情を話す。
 給食用品の受注が決まるのは主に年度初めの春先だ。それ以外の時期は、業務も比較的に少なくなるからだ。
 むろん、これまでにもさまざまな取り組みを進めている。その一つが業務用冷凍パン生地の販売だ。同社ではヨーロッパから「メンフィス」ブランドの冷凍パン生地を輸入し、有名ホテルやテーマパーク、アミューズメント施設、カフェなどに提供している。オーブンに入れて焼くだけで、本格的な味が楽しめると好評だ。
「これらに加え、事業の柱として育てたい」と桑原社長が考えたのが海外事業だった。
 桑原社長は、『アリババ』と契約し、さっそく商品を掲載し始めた。だが、その早々から、大きな課題に直面する。海外のバイヤーと単価がまったく折り合わないのだ。
 前述した高品質の高強度磁器「ダイアセラム」は、小さな茶わんやマグカップでも1個の価格は1000円程度になる。日本の保育園では、安心、安全に加え、「家庭と同じ食器で食事をさせたい」と考えるところが多いためだ。しかし、海外にはこのような「食育」の概念がなく、食器には機能が求められるだけだ。素材も樹脂製がほとんどである。
「海外のバイヤーから問い合わせはあるものの、1個10円の間違いじゃないのか、と聞かれたことが何度もあります」
 これではビジネスとして成立しない。

ロシアから400万円相当の「包丁」の受注を得た考え方とは

 相手の求める単価が2けたも違うと分かった桑原社長はどうしたのか。何と、『アリババ』での食器の販売を、一切やめてしまったのである。掲示していた商品の紹介もすべて削除してしまった。
「相手のニーズに合っていないものは、いくら頑張っても売れないから」と、桑原社長は語るが、それにしても思い切りがいい。
 代わってすぐに始めたのが、日本製の包丁と緑茶の販売だ。
「いずれも、よい商品であれば単価が高くても需要が見込めます。欧米では、日本の鋼(はがね)は高級品として人気です」
 その言葉どおり、商品を掲載すると、スイスやオランダ、オーストラリアなどのバイヤーから問い合わせがあったという。ロシアのある卸売業者からは、百貨店向けに日本製の包丁を販売したいと相手先ブランドによる生産(OEM)の注文があった。その総額は約400万円で、1本あたりの単価は数千円になる。

「商品によってニーズは異なる。合う国もあれば合わない国もある。『この値段は高すぎるのでは』と思っても、意外に売れる商品もあります。常識にとらわれず、いろいろな商品をぶつけてみることが大切です。これからは車に搭載する日本製のAV機器やカーナビも面白いと思っています」と、桑原社長は語る。
 企画開発型商社として、柔軟に商材を発掘し、自社のビジネスチャンスに結びつけていく考えだ。
 同社では、『アリババ』を活用した海外事業をさらに発展させるために、英語が堪能な社員を雇用するとともに、営業事務のためのスタッフも配属させた。
「海外事業は本気でやらなければまったく売れません。しかし、本気でやれば着実に成果が生まれると感じています」と、桑原社長は意欲を見せる。

代表取締役 桑原英児 氏(写真中央)
杉山 晃太 氏(同左)